ひらせ鍼灸院 平瀬徹

私が鍼灸治療をさせていただきながら、患者さんのご質問にお答えしたり、アドバイスさせていただいていることを載せておきます。

私は皆さんの体が治ろうとする力を強めるお手伝いをさせていただきます。実際に病気を治すのは患者さんご自身です。

このページが皆様の養生の参考になれば幸いです。

ギックリ腰、寝違いについて

ギックリ腰発症当日来院された患者さんの八割は、担ぎこまれても帰りは歩いて帰られます。

筋肉をあんまり緩めすぎても、腰くだけになってしまいます。治療後患者さんが「治った!」と元気よく起き上がり、ベッドから落っこちて治療をやり直した、という苦い経験があります。

以来、左右の筋肉の張り具合を調整することに重点を置くようになりました。それからは「平瀬先生のとこに行かせればすぐに仕事に復帰できる」と、ある会社の診療所扱いになり、従業員が高速飛ばしてやってくるようになりました。

ギックリ腰を起こしてすぐ冷やす方がいらっしゃいますが、まずは温めてみて下さい。温めて症状が悪化してから冷やしても遅くはありません。冷やしすぎて治りが遅いことのほうが多いからです。温めて気持ちよければ、発熱を助けてやることで早く緩解させることができます。

昔は、「こういうときはこの膏薬を練って」というようにお年寄りは知識がありました。最近は何でも湿布で冷やせばいいと思っている人が多くなりました。

ギックリ腰や寝違いは、すぐ痛みが引く方と、数時間経ってから痛みが引く方に二分されると思います。翌日すっきり起きられればもう来なくていいし、まだ痛むようなら来院して下さいとアドバイスさせていただいています。

ギックリ腰や坐骨神経痛の患者さんでもんでほしいという方は、「悪化することが間違いないから鍼灸しかできません」とお話し、ご理解いただけなければお帰りいただいています。

一度ギックリ腰を経験した方は、次に発症する前に、重だるさを感じることが多いようです。ですから「何とも言えない重だるさが出たら来てくださいね。ギックリ腰やらなくてすみますよ」とお話しています。

頭痛について

ダイナゾール服用してて激しい頭痛?ひょっとして血栓できてる?こういうときはまずはお医者さんで検査です。何でも鍼灸で治してやろうなんて思いません。激しい頭痛の患者さんにお医者さんに行っていただいたら、ヘルペス性脳炎だったことがありました。

頭痛薬を常用している方は、頭痛薬が切れると頭痛がひどくなります。鎮痛薬は、軽い麻薬のようなもの、と考えてもいいでしょう。

鍼灸治療で、だんだん鎮痛薬を減らし、飲まなくても生活できるようにお手伝いできればと思っています。

睡眠と肌荒れ

睡眠不足だと皮膚が荒れます。夜お仕事される女性はどうしても皮膚が荒れるから厚化粧になりがちです。鍼で皮膚に潤いを持たせる、よく眠れるようにすることが大切だと思います。

健康管理について

毎週末、遠方にも関わらず現金で治療を受けに来て下さる患者さん「平瀬先生に鍼していただくようになってから頭痛がなくなり、病院にも行かなくなりました。一回お医者さんに行くと4千円ではすまないから、医療費の節約になってます」と。

健康管理にいらっしゃる方は、健康食品にかける金額と比較し、鍼灸のほうが安いとおっしゃいます。月7万円以上かけていた方が、1万円ちょっとですむようになったというようにです。

血圧について

学生時代、経絡治療の本治法だけで、血圧がどう変化するかを研究したことがあります。結果としては、高い人も低い人も正常値に近づいたわけですが、客観的なデータを取り、理解していただくのは難しいですね。

首に、上の血圧を下げるツボがあります。でも、下の血圧を下げるツボを知っている鍼灸師はそんなに多くないようです。

慢性の症状について

顔面麻痺の患者さんに、100Hz以上のパルスを間歇的に流すと効果があるようです。私は普段はあまりパルスは流さないんですけどね。目の周囲のパルス鍼も気持ちいいという人多いですね。

しかし、半年以上経ってから「鍼灸が効くと聞いたから」と来ていただいても、なかなか思うような効果は出ません。できるだけ早く来院、お医者様の治療と併用していただけるとより短期間で快癒に導くことができると思います。

五十肩も、炎症があるうちに来院していただければ、固まってしまうことを鍼で防ぐことができます。「痛みはなくなったけれど、棚の上の物を取るのが大変」というような状況になってからは、なかなか治癒は難しいです。

脳卒中は、赤ちゃんがハイハイして立って伝い歩きできるようになるような感じでよくなって行きます。鍼灸もできるだけ早い時期から併用すると後遺症を少なくすることができます。

逆子・不妊について

逆子の患者さんで、鍼をした直後に「赤ちゃんジャンプしました」って言われ、改善したことがあります。「あちこち病院行ったけど、なかなか赤ちゃんできなくて」とおっしゃっていた患者さんから「できました!」ってお電話いただいたときは自分のことのようにうれしいです。

しかし、はっきり申し上げて逆子や不妊の治療は私にとっては大変なプレッシャーです。お金を頂いても、必ず効果を出せる、とはお約束できません。

風邪について

風邪の引きかけは鍼がよく効きます。でも、こじれてしまったら私もお医者さんに行きます。私は西洋医学も否定しません。患者さんに、いかに早く治っていただくかを最優先に考えます。

風邪で熱がある患者さんで、体力がありそうな人には、鍼や遠赤外線で発汗させてあげます。そうすると、後さっぱりします。無理に注射や薬で解熱させると、微熱が続いて後鬱陶しさが残ります。

熱が出るということは、体の中で悪者をやっつけるための戦いが起きているということ。ですから、その手助けをしてやろうという考えです。

鍼による感染について

「鍼は初めてだけれど、感染の心配はありませんか?」という問い合わせを頂きます。「患者さんに感染させてしまうより、施術者自身が感染する可能性のほうが高いので、私は感染するのは嫌なので万全の対策を取っています」とお答えしています。

ちょうど私が開業した昭和62年ころは、エイズの感染について知られるようになったころ。鍼灸師会でもオートクレーブや使い捨て鍼の使用を奨励するための講座を開催しました。途中から機器を揃える人は大変だったと思いますが、私は開業と同時だったから何の抵抗もありませんでした。

メンタルでお悩みの方へ

メンタルの患者さんは、まずは自立神経の調整を、ゆっくり話を聞いてあげながらします。

鍼灸師の中にも、カウンセリングはアドバイスすることだと思っている人もいるようですが、そうではありません。共感的な態度で患者さんに接し、理解してあげるところから始めます。

自殺はある程度エネルギーが蓄えられないとできません。少し症状が改善してきたときが要注意です。

うつの人は、洗面器にポタッ、ポタッと少しずつ水が留まって行くようにして改善して行くと思います。ところが、もう少しだと思って頑張りすぎると、洗面器を引っくり返して水がこぼれてしまう。そして「あ、やっぱりダメだった」と落ち込む。これが危険なんです。

基本的な知識がないまま、東洋医学的な考え方で鍼をするというのは危険だと思います。 精神分析やカウンセリングは専門家に委ね、鍼灸治療も併用していただくようお願いしています。

パニック障害の方が遠方から長期間現金で来院して下さっていたときはさすがにプレッシャーがかかりました。まずは一駅電車に乗れるようにし、最寄駅まで行けるようにし、会社の門まで、玄関までと通勤距離を増やしました。治癒され、仕事に復帰されたときには本当に肩の荷が下りました。

治療の進め方について

首から腕、腰と膝というように関連する所は一緒に治療しますが、首も膝もといニーズについてはお断りするようにしています。全部治療させていただくと、けっきょくは治るのが遅くなるし、効果を出せなければ、患者さんを紹介していただけなかったり、評判が悪くなります。

膝痛を訴えて来院される患者さんの中には、実は腰が悪くて、膝を治すと腰痛が復活することがあります。「元の所が痛みだしたら、治ってきてる証拠だよ」って説明するようにしています。

「私は首をもまれるのは嫌だ。肩だけたくさんやってほしい」と言われた患者さんはお断りしました。

あっちもこっちもというニーズには「どっちつかずになってけっきょく治りませんよ。治そうとする力を悪い所だけに集中させたほうがけっきょくは早く治りますよ」とお話し、理解していただいた患者さんだけ治療させていただいています。

最初は慰安の按摩がきっかけで、「ついでに鍼をしてほしい」と言われるようになり、最終的には鍼灸治療にというパターンが多いです。

突発性難聴について

突発性難聴も、早く鍼灸治療をさせていただければかなり効果がありますが、医師からどのような処置を受けたかにもよります。高気圧酸素療法の有無でも効果が違ってきます。

小児鍼について

私が以前勤めていた鍼灸院では、小児鍼は無料でしていました。「お子さんの治療がきっかけで、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんにも来院していただければ、鍼灸の発展につながるんだよ」と亡き院長から聞かされました。そして、その子が大人になったときに、他の鍼灸院でもいいから、鍼灸の効果を思い出してかかっていただければという願いがあったようです。

小児の疳虫は、お子さんのストレスから来るものが多いように思われます。お母さんの精神状態が安定すれば緩解するようです。なので、私は小児鍼とともに、お母様にも鍼灸治療を受けていただけるようお勧めしています。

私も師匠に習って、小学生までの小児鍼は無料にさせていただいています。夜尿症で通ってくれていた子が、修学旅行のお土産を持ってきてくれたときはうれしかったなぁ。もちろん旅行先ではおねしょはしなかったそうです。

ただし、夜泣き疳虫については、ご両親どちらかの現金による治療をお願いしています。

お酒を飲みすぎたときは?

飲みすぎて嘔吐しそうになったときは、げき門穴と内関穴の間で、圧痛がある所を強く圧迫しているとおさまることが多いですよ。

救急的に使える技もあるといいですよ。酔っぱらってても鍼はできますが、やっぱり失礼だし、相手も嫌がるかもしれません。でも、指圧ならすぐできるし、効果を体感していただけます。もちろん自分にもよく使います。

冷え性について

足がほてってたまらないとおっしゃる患者さんの中にも、実は冷えがあるケースは多いです。

お風呂から出る前に、膝から下に冷たい水をかけると、ビックリして一度血管が収縮しますが、その後拡張して末梢まで血液の流れがよくなり、よく眠れますよ。冬から始めるのは大変なので、夏から始めるといいですよ。

癌のケアについて

お医者さんも同意の上で末期癌の患者さんの疼痛緩和のお手伝いをさせていただいたことがありますが、ひょっとしたら癌の進行は早めたかなあとも感じました。鍼灸で免疫力は高められるかもしれませんが、血液やリンパの流れがよくなることで、癌細胞の増殖を促すことになってしまったかもしれません。


ひらせ鍼灸院のトップページに戻る